新型BACKPACK”THE TITAN"のお話(後編)

 

新製品のバックパック″THE TITAN″の製作秘話や拘りを紹介しております。

今回は、前回からの続きになりますので、引き続きご興味のある方にご一読いただけたら嬉しく思います。

 

さて、コロナウイルスの影響で開発時間に余裕が生まれましたので、過去に作成したサンプルの再確認や、他分野の製品を見る為のお店廻り、勿論WEBでも様々な製品をチェックしました。

 

その中で、朧気ながら求めている仕様が形になって来たので早速1STサンプルを作成してみました。

それがこちらです。

 

これはInstagramに投稿した時の画像ですが、先程確認したら3月31日でした。

まさに世の中がコロナパニックに陥っていた時ですね。

私が新型バックパックに求める要素は前回も紹介しましたが、もう一度。

 

①前を向いて立ったままでも、ルアー交換が出来る事(必須条件)

②地面に置いて釣りをする際に、基地のような役割が出来る事

③ロッドホルダーを付けれる事(ロッドを立て掛ける事が出来れば最高!)

④頻繁に取り出すものと、そうじゃない物を別けて収納出来る事(中で荷物がぐちゃぐちゃにならないように)

⑤スタイリッシュである事(これ大事‼)

特に①、②が最も重要な要素だったので、先ずはカバンが自立して、荷物を横から取り出せる物を作成してみました。

 

個人的には、ボディに張りの無いバックパックの方がシルエット的に好みなのですが、そうするとどうしても自立し難く、また、前を向いた状態でのファスナー開閉がし難いので、TITANはボディ全体に芯材をいれて張りを持たせています。

荷物は、上部と側面からの取り出しが出来るようになっていますが、これは一部のカメラバックの仕様を参考にしています。

 

製品版のTITANは、成型フタを採用しており、ルアー交換時のトレイとして機能するのが特徴なのですが、1STサンプルでもこの機能を設けています。ただし、この時点では他の部分と同じ生地で出来たフタで、内側にEVAスポンジ(スプーンウォレットによく使われている硬質スポンジです)を貼っていました。

「このカバン、ハンドルの位置が普通のバックパックと違う位置に有るな」と感じた方は鋭いです!

これはフタを開いた時に、ハンドルが前ポケットに干渉する事で、フタの支えになる仕組みになっているからです。

ハンドルがこの位置に有るのには理由が有るのです。

 

画像では判らないですが、内部には脱着式の仕切り板が付いており、荷室を別けて使える仕様になっています。

この時点で、必要な要素はほぼ満たしていたのですが、個人的に⑤のスタイリッシュさが今一つだったのと、やはりフタ部分の仕様がどうしても気に入らなかったので再サンプルを作成する事にしました。

3回目のサンプル。この頃は、既に外見はほぼ製品版と同じになっています。

特徴的な成型フタ。芯材は樹脂で出来ており、針の引っ掛かりを防いでくれます。

開口部を上から見たところ。PCやハイドレーションパック(袋入りの水)を収納出来るスペースが有ります。中央にあるベルトはPCを固定するだけでなく、成型フタを一時的に閉めておくための物です。



これは3回目のサンプル画像です。

この時には、特徴的な成型フタになっていますね。実は、この成型フタは寸法を変えて2回作成しています。先程フタの上に付いていたハンドルもポケットの上側に移動しています。この位置にハンドルが有る事で、フタをトレイにした時の支えになり、尚且つ上部ポケットの開閉時にもハンドルが邪魔にならなくなりました。

 

成型フタに拘った理由は、素材の硬さに有ります。

フタが硬い事で、トレイにルアーを置く際に針が引っかかる事を防いでいます。

また、縫製部分が無くなることで、ネイルシンカーやスナップなどの小さな物が隙間に入り込む事もなくなりました。

以前のサンプルでは、生地同士の縫い合わせ部分に、スナップや小物が入り込んで行方不明になっていました。

 

フタにマジックテープのメスが付いていますが、これはワッペンを付ける為の飾りではありません。

本体内部にはPC収納スペースが有るのですが、これを固定するためのテープでフタを一時的にベルクロで固定する為の物です。これにより、毎度毎度ファスナーでフタを閉めなくても、中の物が落ちる事を防いでくれるという訳です!

 

また、上部ポケットの一部が透明になっていますが、これにも理由が有ります。

このポケットには、バーサスのフックシンカーケース(通称デカあきお君)が2個、若しくはリューギさんのマグタンクXLを収納出来るのですが、同じポケットにリーダーやフック、ハサミ等を収納出来るように作っています。

外から見た時に何が入っているか一目瞭然にする為に、半透明にしてあります。

 

ルアー交換時に作業台替わりになる成型フタと、ロッドを最適なポジションに保持できるロッドホルダー。

カバンが自立する為、荷物の取り出しや、ルアー交換の作業を容易に行う事が出来ます。

LINHAのロッドホルダー、汎用性は有るがバックパックに取り付けるには不向き。やはり専用品をおススメいたします。



この画像は、ほぼ最終のプロトサンプルだと思います。

この段階になると、芯材の硬さや各パーツの寸法、カバン自体の重量などの細かな変更の為に、サンプルを作り直すという状態です。こういったサンプルだけでも3回くらい作り直しをしたので、協力工場の社長が呆れていました…苦笑

見た目もスタイリッシュになったと思いませんか?

 

今回のバックパックには当初、弊社で既に展開中のCL-06Aロッドホルダーを付ける事を想定していたのですが、これも専用品を取り付ける事になりました。理由は二つあります。

 

①既存のロッドホルダーだと、背負った状態の時は問題無いのですが、地面に置いた際にロッドホルダーが干渉して、折れ曲がってしまうのです。本体上部に取り付ける事は出来ますが、グラグラして使い難く、背負った状態だとロッドが取り出せないのです。

②渓流釣行など、長時間徒歩で移動する場合を想定して、パックロッドやトレッキングポール(山歩き用の杖)もホールド出来る物にしたかったからです。

その為、グリップを挿す部分と、ブランクを固定する部分のパーツを別々にしてあります。

余談ですが、トレッキングポールやパックロッドを収納する場合は、サイドポケットに片側を挿して、先端をバンジーコードで固定するととても快適に携帯する事が可能です。

 

まだまだ、拘りの便利機能が有るのですが、長くなりましたので、そこら辺はまた次回のブログでご紹介いたします。

それではまた!